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日本ではタンタンはキャラクターとして広く知られているが、原作のマンガを読んだことのある人は少ない。タンタンのグッズを身に付けておきながら、もともとはベルギーのマンガだということを知らない人も多い。しかしタンタンのマンガは一九年ほど前から日本語に翻訳され、他の外国マンガの和訳と違って一度も絶版になったことがない。なのにマンガ専門店に行っても置いていないし、マンガとしての知名度が低いのは、なぜだろう。立派なハードカバーの装丁でな髪も全てカラーというこのシリーズは、どうやら日本では「マンガ」ではなくて「絵本」として認識されているらしい。 今年の三月にタンタンについてのガイドブック「TINTIN−タンタンの冒険 その夢と現実−」(マイケル・ファー著/小野耕世訳)が太洋社より出版された。日本の読者がタンタンやその作者エルジェことジョルジェ・レミをよりよく知るきっかけとなると良いが、原作のマンガの方も是非読んでもらいたい。一九二九年からエルジェが他界する一九八三年まで描かれ続けたタンタンの冒険は世界各国で読まれ親しまれている。その理由はやはりキャラクターの魅力と絶妙な物語作り、そしてそれをとりまく異国や大自然などのリアリティにあふれた説得力のある描写だろう。今の日本のマンガを読み慣れている人からすれば、「タンタン」のコマ割りや絵は非常に「淡々」としているように見えるかもしれないが、一度はまったらきっとヤミツキになる。 実は私も子供の頃に、偶然学校の図書室でタンタンの英訳に出会って夢中になって読みあさった。内容は一見単純な冒険物語だが、統一された世界観の深さに魅かれて、大人になった今でもついつい読み返したくなる。 今の日本には、一度読んだらすぐに古本屋に売られてしまうようなマンガにあふれているが、エルジェのライフワークである「タンタンの冒険旅行」は、大事に本棚に置いておき、たまに引っ張り出して読み返し、そしていずれ自分の子供や、ひょっとしたら孫にもに読ませたいと思う、そんな作品である。 |