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泉谷いちこ(十八)には「完璧な恋人」がいて、その人をパパに紹介したいのだけれど、その恋人、城島エリー(二一)は女である。しかし、意外とすんなり受け入れてくれるパパは今度娘のいちこにショックを与える爆弾発言をする。「チッチ&サリー」ならぬ「いちこ&エリー」の小さな恋の物語はこうして始まる。 山岸凉子の『白い部屋のふたり』(一九七一年)にはじまり、マンガの中で女同士の恋愛は何度か取り上げられてきた。なかには名作もあるが、同性愛者の現実より異性愛者の同性愛に対する幻想を描く作品がほとんどである。(「やおい」や「ボーイズ・ラブ」と呼ばれるジャンルもまた極端にそうである。)しかし、やまじえびね氏の『LOVE MY LIFE』(祥伝社・九三三円)は現代日本の若い同性愛者の現実を、シンプルかつ忠実に描こうとしている。 素直に生きることしかできない主人公のいちこ、父親を見返すために勉強に励むエリー、妻を亡くし娘を育てながら「二重の人生」を送るいちこの父。やまじ氏の洗練された絵と台詞によって彼女らの内面的な「きれいさ」はうまく描写される。が、「きれいすぎ」ではない。といってドロドロもしていないが、人間の匂いが程よく残されていて、容易にキャラクターたちに共感することができる。 明治以前の日本はある意味では同性愛者・両性愛者の楽園だったそうだが、今では先進国の水準からしてもその認識が大変遅れていて、無知から生まれる偏見と差別に溢れている。普通に生活を送りたい同性愛者はクローゼットに隠れるしかなく、『LOVE MY LIFE』の主人公たちも悔しいと思いながら隠れ続ける。 『LOVE MY LIFE』は日本のレズビアンものにして珍しく一応「ハッピー・エンド」になっているが、現実的に考えるとこの程度のハッピー・エンドしか期待できないのは、現在日本における同性愛者の肩身の狭さを物語っているのかもしれない。
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